好きなことで食べていく、好きなことを食べて生きる 『羊と鋼の森』 感想


最近読み返した本『羊と鋼の森』

私が最近久しぶりに読み返した本、『羊と鋼の森』を紹介します。

 『羊と鋼の森』宮下奈都

2016年本屋大賞を受賞した作品で、漫画化や映画化もされています。

受賞発表当時、私は本屋さんの特設コーナーに平積みされているものが気になり、購入しました。

ハード版の装丁が素敵で、いわゆるパケ買いしました。

表紙のデザイン、タイトル、手触りの3点が、とてもマッチしています。

(上のリンクにあるのは 単行本ではなく文庫なのでご注意を!)

まあ、なんとなく内容も気になってはいたのですが・・・。笑


タイトルの秀逸さと魅力的なセリフ

この作品で、秀逸だなと思った点が2つあります。

タイトル

まず1つ目は、タイトル。

この作品のタイトルは『羊と鋼の森』。

そもそもこの作品の主人公は、新人調律師の外村。

高校生の時に学校にやってきた調律師に憧れて、音楽も調律もよくわからないところから調律師を目指し、現在は経験を積む日々です。

私は昔から音楽に縁があり、調律師のこともなんとなくは知っていたのですが、この作品を通して知ることもたくさんありました。

調律とは何か、どのような音を目指して作業するのか、ピアノとはどんな楽器なのか、などなど。

読み進めるうちに『羊と鋼の森』ってこの作品のことをそのまま表現したタイトルだな、と気付かされます。

セリフ

そして2つ目は、登場人物が放つセリフの数々。

特に心を打たれたのは、和音のこのセリフ。

「ピアノで食べていこうなんて思ってない」

「ピアノを食べて生きていくんだよ」

初めてこの作品を読んだ当時、この言葉にとてもハッとさえられた思い出があります。

当時まだ学生で、進路に迷い始めた頃だったからか、とても心に響きました。

社会人になった今読み返しても、自分の生き方について再考させられるセリフになっています。

好きなことで生きていくこと、覚悟を持ってその世界に飛び込むこと。

以前にも「好きなことで生きていく」というキャッチフレーズがyoutubeなどを中心に流行った時がありましたが、和音のセリフの方が重みがあるな・・・なんて思っていました。

”好きなことを仕事にする”ということは、もちろん簡単なことではないですが、聞き馴染みのあるフレーズで、実現できている人もそれなりにいますよね。

それは、”食べていくための手段として好きなことをできている”わけですが、和音のセリフにはもう1段階超えた次元を見ている感じがして、新しい視点だなあと思いました。

文字に起こすと少しの違いですが、感じさせるものは別次元。

言葉のプロである小説家は本当にすごいですね。


読みやすい漫画版も

活字が苦手な人は、コミカライズでも読むことができるので、こちらもおすすめです。

私は小説と漫画、両方持っています〜。



ただし、やっぱり小説の方が想像力も働きますし、感じ取れる印象が全く違うので、個人的には小説の方がおすすめです・・・・!
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