【映画】『PERFECT DAYS』感想 | 映画というより映像作品、主人公に興味津々

    


 知人に ヴィム・ヴェンダース監督作品の『PERFECT DAYS』を勧められたので、Amazonプライムビデオで鑑賞しました。


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見る前にアマプラの紹介ページ(?)で誰が出演しているのかを確認してみると、とにかく豪華!

主演の役所広司をはじめ、名だたる面々が集結していました。

セリフがなかったり、ほんの数秒しか出ていないのにこのキャストか〜!と驚きます。

キャストも注目です。


通常このブログでは読書やガジェットのレビューをしていますが、なんとなくこの映画についても感想記録をしておきたかったので、映画の感想をつらつら綴っていきます・・・。

(上記の画像は、映画のシーンよりイラストを描いてみました〜。)

第一印象は”映画”というより”映像作品”

私が今まで見ていた一般的な映画とはかなり印象が違いました。

いわゆる映画というと、起承転結があって心が揺れうごく場面が多々あるイメージ。

『PERFECT DAYS』はのんびりした画も多く、どちらかというと映像作品という言葉の方が似合うものでした。

セリフも極めて少ないと感じます。

私は日頃から、美術館で現代アーティストの映像作品を見る機会があるのですが、『PERFECT DAYS』の雰囲気はそれに似ています。

かといってストーリーがないわけではないので、映画なんだけど・・・。

全体的には、海外っぽさがあり、でも舞台は東京なので懐かしさもあり、何だか体験したことのない不思議な感じでした。

個人的には、この作品をぶっ通しで見るのは辛いかなぁという感想です。

私はAmazonプライムビデオで鑑賞していたので、30分くらいで区切って休み休み見ていました。

多分私には、映画館で丸々一本ぶっ通しで鑑賞するのは無理です。

ただ、細切れに鑑賞してみると面白さが沁みるというか何というか・・・。

とにかく不思議な感覚でした。

主人公の暮らしに憧れてしまう

主人公の設定は、文字だけでみると憧れるようなものではないのですが、映像で生活を追ってみると何だか羨ましいなと思えるのが面白いです。


主人公の仕事はトイレの清掃員。

独り身で、住まいは下町っぽいボロアパート。

部屋は整理整頓されていて、趣味のカセットテープや古本、観葉植物が並んでいる。

通勤の車ではカセットテープで洋楽を聴き、昼休憩には木漏れ日をレトロなカメラで撮影。

仕事を終えると銭湯で汗を流し、行きつけのお店で食事をする。


何だか映像を見ていると、こんな暮らしがしたい、と思えてきます。

私は何だか、ちょうどいいぬるま湯にずっと浸っているような気分になりました。

ただし、ちょいちょい現実が合いの手で入ってくる。

清掃作業中に迷子を助けたら、その母親に汚らしいと蔑むような行動をとられたり、財布がすっからかんになって困ったり。

トイレの清掃員は人気のある職業、というわけではないという現実が見え隠れするのが絶妙です。

後半は主人公の見えてなかった一面が

後半に登場するニコという少女との同居生活によって、今まで見えていなかった主人公の一面を垣間見ることができます。

ニコとのシーンでは、これまであまり話すことがなかった主人公のセリフが一気に増えていました。

また、ニコとの別れをきっかけに、これまで無口で穏やかな印象だった主人公の、感情を大きく吐き出すようなシーンも見られます。

私たちが今まで見ていた主人公はほんの一面でしかなかったのか、と個人的に寂しいと感じたことに自分自身驚きました。

また、ニコとの生活を見ることで、主人公が周りからどのように見えていたのかなども知ることができます。

個人的に印象的だったのは、前半から登場していたホームレス。

最初は、主人公がホームレスのことを微笑ましいというか、自由だというか、どちらかといえばポジティブな印象を持って見ていたように思っていました。

しかし後半を見ていると、何だか自分より下の人を見て、安心しているようにも見えてきました。

前半と後半の対比も面白い

ちょっと印象に残っているのが、主人公の寝床の変化です。

前半では、ものが少ないスッキリとした畳の部屋で寝ていました。

しかし、ニコが同居する後半では、物置のような雑多な場所で寝ることに。

先述したような、本人の言動や見え方の変化も面白かったですが、自分の置かれる環境まで緻密な変化が表現されていたのが面白いです。

最後の主人公の顔のシーン

後半に何やかんや色々あって、最後のシーン。

日常が戻ってきたかのように、同じような朝を迎え、同じように通勤する車の中でカセットテープで洋楽を聴いていると思っていたら、何だかいつもと表情が違う。

かなり長い時間、主人公の顔がアップで流れています。

その表情は、笑っているように見え、泣いているように見え。

必死に主人公の心情を読み取りたくなるシーンでした。

日常のようで、日常でなかった。

このシーンを演じていた役所広司さんにも、とてつもない魅力を感じました。

もちろん全体を振り返ると、役所広司さんの演技の至る所に、いいなあと思うものがありました。

エンドロール後のKOMOREBIという文字

エンドロールが流れ、最後にKOMOREBIという言葉とその意味が英語で表記されていました。

作品を通して、木漏れ日はメインテーマの一つだったと思います。

刹那的で、同じ瞬間は二度と訪れないことを、作品を通じて伝えたかったのかな、と感じました。

最後のKOMOREBIの文字で、よりこの作品の深みを感じ、考えることができたなと思います。

『PERFECT DAYS』


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これまで映画はそこまで深く見たことがなく、特に、海外の映画監督の作品はあまり見たことがありませんでした。

ぶっ通しでこの作品見ることは、私には難しかったのですが、細切れで見てみるとなかなか面白く鑑賞することができました。

いわゆるストーリーを楽しむような映画ではなく、映像として楽しめるような作品を見るのは初めてだったので、色々と考えながら見ることの楽しさも味わえました。

これからも少し興味を持って映画鑑賞ができそうです。

もしかしたら、このブログでも映画の感想を綴ることが増えるかもしれません。
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