【映画】『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』| 家族以外と過ごすクリスマス
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映画のワンシーンより作成 |
最近ハマり始めた映画の感想をつらつら綴るお時間です。
今回は『The Holdovers』(原題)、『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(邦題)を鑑賞しました!
"Holdover"は、残留者という意味がある英単語だそうで、私は初めて知る単語でした。
『ホールドオーバズ』のあらすじ
舞台は1970年のクリスマス、ボストン近郊の名門バートン校。日本ではクリスマスは恋人と過ごすのが憧れとされていますが、欧米圏では家族で過ごすのが一般的。
全寮制であるバートン校の生徒も、クリスマス休暇にはほとんどの学生が家族のもとへ帰ります。
ただし、ごくわずかクリスマスに寮に留まる者も。
孤独を抱える残留者たちは、クリスマスを寮でどのようにして過ごすのか。
孤独にもいろんな種類がある
この作品には、いろんな経緯で孤独になる人が様々登場します。
家族とうまくいっていない者、家族がいなくなってしまった者、自ら家族から離れた者。
貧しくても富を持っていても、どんな人にも"孤独"があることを実感しました。
映画の鑑賞者は、客観的に登場人物の抱える孤独や苦悩を見ているので、こちらの方がかわいそうなんじゃないか、と比較してしまいがちです。
しかしこの作品では、当事者にとっては大も小もなくみんなそれぞれ苦しんでいるものがあるのだなぁと、実感することができます。
人の悩みは比べるものではないですね。
社会問題もうまく織り交ぜながらさまざまな孤独を知ることができました。
今後を想像させる終わり方
この作品の終わり方は、何となく羅生門とかそっち系に似ています。
主人公のハナムがその後どうなるのかは誰も知らない。
ただ、どんより暗い終わり方ではなく、不安もあるけどなるようになるさ、みたいな楽観的な見方もできるのが良かったと思います。
個人的にはその後も描いてもらえると嬉しいのですが・・・。
余白を残した終わり方って、結構好き嫌い分かれますよね。
アンガスの成長した姿も見てみたいかな。
アンガス・タリー役ドミニク・セッサ
特に印象に残ったのが、アンガス・タリーを演じたドミニク・セッサ。
メインキャラクターで、主人公のポール・ハナムと行動を共にすることになる人物です。
アンガスは優秀でありながらも、登場時は何とも憎たらしい生徒でした。
教師であるハナムとも反りが合わないような感じ。
嫌なやつだなぁなんて思っていたのに、終盤で退学処分を受けるかもしれないとなったシーンのしょんぼりした感じがとても可愛らしくて・・・・。
演じ分けというか、表情の付け方が素敵な俳優さんでした。
優秀な生徒であるという設定にもぴったりのお顔立ち。
結構インテリ系の役が向いていそうだなと思います。
調べてみると、ドミニク・セッサは今作が映画デビューなんだとか。
今後がとっても楽しみな俳優さんです。
彼の次回作にも期待したい!
1970年代を感じる美術にも注目
お話の舞台が1970年のクリスマスなので、もちろん出てくる車や家電なんかも当時を再現したものです。
ハナムの車、可愛いんですよ〜。
当時はスマートフォンなんてものはないので、固定電話を使って連絡を取ったり、直接お話ししてパーティに招待したり。
孤独がテーマの一つでありながら、昔ながらのコミュニケーションの取り方に温かさを感じられるのが不思議な感覚でした。
みんなでテレビを囲んで夜を過ごすシーンなんて、他人同士なのに、まるで家族のように見えて素敵でした。
気になった方はぜひ。